遠い国家公務

太陽が定刻通りに沈み、僕の安心が昇り始めた。太陽は最も高い位置で職務をこなす国家公務員だ。時間通りに始業し、役割を果たす。その仕事内容は、照らすこと。この世の照明を担当している大ボスでもある。そのフィールドワークに誰しもが脱帽だ。スイッチを持たずに照らす能力が買われ、時代の移り変わりにもめげず、光を供給してきた。だがそんな勤勉な太陽も、たまに出てこない日がある。というか、雲にガードさせる日がある。そんな華麗なる休職活動にどのぐらいのヒトが気づいているのだろうか。このことをすれ違う動物たち全てに教えたい。そんな悩みを今日も抱きながら、帰路につく。果てのない道の左側に立ち竦み、明日を予測し始める。そんな僕に寄り添う奴が一人。


月だ。


知的さと冷静を醸し出す佇まいは何とも言えぬ不動感に満ちている。

安定と不安定を天秤にかけ、僕らにそっと呼びかける。だが小声過ぎて、よく聞こえない。都会ではその囁きに気づかない人が多い。耳を澄ませば聞こえてくるはずなのに、都会の人らは澄ます術を知らない。昔はみんな澄んでいたのに。多忙さ故、忘れてしまっている。林道から蝉や蝗の鳴き声が漏れ出す音。田舎では耳を澄ませすぎると煩いぐらいだ。

太陽光エネルギーが謳歌する中、僕は月光エネルギーに賛辞を贈りたい。眩しさもないし、奴の変幻自在なフォルムにこそグッドデザイン賞を与えたい。


そんな二人の国家公務を僕は見届けたいと今日も思った。そろそろエネルギーを感じる瞬間だ。


√で算出してみるか。



おわり

広告を非表示にする